睡眠時無呼吸症候群
睡眠時無呼吸症(OSA)はなぜ起こるのか。咽頭気道の大きさは解剖学的特性とそれを調整する神経性調整の相互作用で決定されます。
OSA発症の原因は解剖学的特性で説明されています。咽頭気道は舌や軟口蓋などといった軟部組織「肉」の中に存在する空間であり、歯列弓、上顎骨、下顎骨、椎骨といった骨構造物「容器」で囲まれています。つまり気道の大きさは「容器」と「肉」の大きさのバランスで決まると考えられています。
覚醒時は神経調整で均衡が図られるが、睡眠時は神経調整機構の活動が低下し、均衡が保てず気道が閉塞しOSAが発症しやすくなると考えられる。
OSAの治療として歯科医師は、この「容器」を広げる口腔内装置、口腔外科的手術、小児矯正(上顎骨急速拡大)に関わっています。
歯科における診断としては、2014年アメリカ睡眠学会(American Academy of Sleep Medicine:AASM)により睡眠障害国際基準 (International Classification of Sleep Disorder 3 RD:ICSD―3)が公表されました。現時点では正確な診断にはPSGが重要である。OSAの確定診断はPSGでなされるが、解剖学的特性を把握するためにセファログラムは欠かせない診断法のひとつです。
セファロ分析における形態学的特徴には民族的な差異があり、日本人OSA患者に特有な顎顔面形態の特徴が示されています。セファロ分析における日本人OSAの特徴としては、SNA、SNBが小さく、Fxが小さい、つまり顎顔面が上下に長く奥行きの少ないlong face(Dolico facial pattern)、またMP―HやPNS―Pが長く、PASの短い、つまり軟口蓋が長く、気道幅が狭く、舌骨が下方にあることが挙げられます。
歯科医師は日常的に口腔内の状態を観察しており、小下顎や巨舌、歯列不正などといったOSAのリスクとなりうる因子に気づきやすく、OSA患者を発見・スクリーニングできる立場にあります。
小児矯正、上顎急速拡大装置に関して、小児OSAでは、アデノイド、口蓋扁桃肥大に代表される小児特有のリンパ系組織の肥大や、鼻疾患、歯科的には上下顎骨の劣成長が原因となることが多いです。米国で行われたChildhood Adenotonsillectomy Trial(CHAT Study 2012)という小児OSAに対するアデノイド切除・口蓋扁桃摘出の大規模前向き研究によると、経過観察にて46%が治癒したのに対し、アデノイド切除・口蓋扁桃摘出術により79%が治癒したことから、本術式が小児OSAの治療の第一選択として推奨されると報告されています。
一方、アデノイド増殖や扁桃肥大が原因ではない小児のOSA患者に対して、矯正装置を装着し上顎を急速に拡大させ、拡大部分が骨化するまで固定する上顎急速拡大(rapid maxillary expansion:RMA)の有効性が近年米国で報告されています。歯列咬合治療のためにRMAを行った症例の鼻咽腔通期状態の改善、それに伴う低位舌の改善、咽頭気道の気道体積拡大、そして吸気時に生じる咽頭気 道部の強い陰圧の軽減効果といった報告があり、RMAが上気道通気障害の改善におよぼすメカニズムが明らかになっています。
参考文献
睡眠時無呼吸症における歯科の役割 高倉育子 耳展 60:1;41~48,2017Cephalometric comparison of obstructive sleep apnea patients and healthy controls Ahmet Yalcin Gungor1 Hakan Turkkahraman2 H. Huseyin Yilmaz3 Murat Yariktas4 European Journal of Dentistry January 2013 – Vol.7
ソムノデントについて
適応できる症例、できない症例
適応できる症例 | 中学3年位から使用してOK |
適応外 | 下顎無歯類、顎関節症の患者(現在データ集め中) |
調整量について
最大でフレックス6㎜、アヴァント9㎜。前方に何㎜、後方に何㎜調整できるようにするかはDrが技工指示書に記載します。
アヴァントのストラップはナイロン製なので、水分吸収してしまいます。ストラップの青の部分は外せないので、白の部分に合わせて着脱を行います。
まずはストラップサイズM0からスタートします。2週間~1か月の間隔で来院してもらいます。
その際は装置を必ず持参してもらいます。アヴァントはデジタル作製対応です。
※いびき軽減マウスピース料金はこちらからご確認ください。