矯正歯科
・矯正治療のメリット
・矯正治療のタイミング
・不正歯列の種類
・矯正治療の方法
矯正治療のメリット
1.むし歯や歯周病を予防し、健康な歯を保つ(磨きやすさの改善)
歯を失う2大原因は、歯周病とむし歯です。そしてこの2大疾患になる原因は、歯と歯の隙間に入り込むプラークです。プラークは単に歯についた汚れではなく、細菌の塊です。歯並びが悪いと歯ブラシやフロスが通りにくく、プラークを上手く除去することができません。
2.健康な身体を作る(かみ合わせの改善)
歯並びは、咀嚼(食べ物を噛み砕くこと)や嚥下(飲み込むこと)はもちろん、発音や呼吸、姿勢をはじめとする身体のバランスにまで影響を与えることがあります。正しいかみ合わせは、健康な身体の土台であるとも言えます。
3.顔のバランスを整え、明るい笑顔を作る(審美性の改善)
歯並びに自信がもてないと、笑顔をつくることに消極的になり、いつもつまらなそうに見られてしまったり、自分の笑顔に自信がもてなくなってしまいます。また、歯並びは単に口を開けたときの見た目だけでなく、上唇と下唇がずれたり、左右のバランスが崩れたりなど、顔そのものの形に影響してしまいます。
矯正治療のタイミング
子どもの矯正治療(Ⅰ期治療)
混合歯列期(乳歯から永久歯に生え替わる時期)におこなう矯正治療です。主に顎の形を整え、永久歯がきちんと生えてくるように誘導する治療になります。場合によっては、舌の癖や生活習慣を改善するトレーニングを並行しておこないます。Ⅰ期治療をしておくことで、Ⅱ期治療の必要がなくなる、またはⅡ期治療を簡易なものにすることができます。
中学生以上の矯正治療(Ⅱ期治療)
永久歯が生えそろったあとにおこなう矯正治療です。基本的にはすべての歯に装置を付ける本格的な矯正になりますが、当院では、10代の方専用の「インビザライン・ティーン」を取り扱っております。
不正歯列の種類
叢生(そうせい)・乱ぐい歯
でこぼこの歯並びを叢生と呼びます。八重歯も叢生の一種です。歯と歯が重なっている部分は磨きづらく、むし歯や歯周病のリスクが高くなってしまいます。
下顎前突(かがくぜんとつ)・受け口
上の歯が下の歯に少しかぶさっているのが通常の歯並びですが、下の歯が上の歯にかぶさっているのが下顎前突です。正しい咀嚼ができないため前歯がぐらついたり、下顎が変形してしまったりの原因となります。下顎が成長しすぎて突出してしまうこともあるため、なるべく早く治療することが好ましいと言えます。
開咬(かいこう:オープンバイト)
奥歯がかみ合っている状態でも、前歯がかみ合わず、隙間が開いている状態を開咬と呼びます。食べ物を上手くかみ切れなかったり、正しい発音ができなかったりなどの障害が起こります。口呼吸や指しゃぶり、舌を出す癖などが原因のため、歯列矯正と平行して生活習慣の改善が必要となります。
上顎前突(じょうがくぜんとつ)・出っ歯
上の歯が過剰に突出している状態を上顎前突と呼びます。いわゆる出っ歯の状態です。ボールなどが口にぶつかった際に歯が折れやすくなってしまいます。また、口を閉じにくくなるため、口内が乾きやすく、むし歯や歯周病のリスクも上がってしまいます。
空隙歯列(くうげきしれつ)・すきっ歯
歯と歯の間が開いている状態を空隙歯列と言い、前歯の真ん中である場合は正中離開(せいちゅうりかい)と呼ばれます。見た目も良くないですが、食べ物が挟まりやすく、むし歯や歯周病のリスクファクターとなります。ただし、歯の小さい乳歯列では空隙歯列は正常です。
過蓋咬合(かがいこうごう)
上の歯は下の歯に少しかぶさっているのが通常の咬合ですが、下の歯が見えないほどかぶさってしまっている状態を、過蓋咬合と言います。下顎の運動が制限されるため顎関節症になりやすかったり、下の歯が上の歯ぐきを傷つけてしまったりといった障害が起こりやすくなります。下の歯が上の歯に接触している場合は、上の歯を前に押し出し、出っ歯の原因となることもあります。
矯正治療の方法
表側矯正(唇側矯正)
歯の表面に取り付けた装置(ブラケット)にワイヤーを通し、ワイヤーの弾力を利用して歯を動かす方法です。歴史が深く、ほぼ全ての歯列に対応することが可能です。定期的に通院し、ワイヤーを調整することが必要です。プラスチックやセラミックでつくられたクリアブラケット、白いワイヤーを使うことで、目立たなくさせることも可能になってきましたが、そのぶん費用は高くなります。
裏側矯正(舌側矯正)
ブラケットとワイヤーが目立たないよう、歯の裏側に装着する矯正方法です。舌が装置にあたるため違和感が大きい、装置が見づらいため歯みがきがしづらい、費用が高いなどのデメリットがあります。
マウスピース型矯正装置
歯型をもとに作成された複数のマウスピースを取り替えていくことで、少しずつ歯を動かしていく矯正方法です。透明なマウスピースをつかうため、ほとんど見た目にわからないのが特徴です。様々な種類がありますが、主流なものにインビザライン、アソアライナー、スマイルトゥルーなどがあります。
比較表
表側矯正(唇側矯正) | 裏側矯正(舌側矯正) | マウスピース型矯正装置 | |
---|---|---|---|
審美性 | 口を開けると装置が見えてしまう | 表側からはほとんど見えない | ほとんど目立たない |
治療期間 | 1年~3年程度(歯列の状態による) | 表側矯正よりやや長め | 表側矯正よりやや長め(マウスピースの使用時間に左右される) |
適応症例 | ほとんどの歯列に対応 | 症例が限定される | 種類によっては軽度の症例に限られる |
利点 | 1.症例や装置の種類が豊富 2.歴史が深く、治療的にも最も確立されている |
1.目立たない | 1.目立たない 2.いつでも取り外せるので、通常通りの食事ができる 3.装着中の違和感が少ない |
欠点 | 1.口を開けるとブラケットが目立ってしまう 2.口内炎が起こりやすい |
1.費用が割高 2.装置が舌に当たるため、かなり気になる 3.口内炎や発音障害が起こりやすい 4.微調整が難しく、かみ合わせをしっかりと仕上げることが難しい 5.調整が難しいため、1回毎の通院時間が長くなってしまう |
1.外したままつけ忘れていると、治療期間が長くなったり、歯並びの仕上がりに悪い影響を及ぼすことがある 2.医薬品医療機器等法(薬機法)の対象外であり、医療品副作用被害救済制度の対象外となる場合がある |
費用相場(上下) | 60万円~100万円 | 90万円~130万円 | 70万円~100万円 |
お手入れ | 汚れている部分を自分で確認しやすいので、お手入れも難しくない | 汚れている部分が見えづらいので、虫歯や歯周病になりやすく、かなりお手入れが大変 | 食事の度に、歯とマウスピース両方のお手入れが必要 |